長い歳月が過ぎて銃殺隊の前に立つはめになったとき、おそらくアウレリャーノ・ブエンティーア大佐は、父親に連れられて初めて氷を見に行った、遠い昔のあの午後を思い出したにちがいない
氷が美しかった。ブエンティアは凍った湖が溶けてできたと聞いていたが、忘れられない景色だった。その光景は彼に希望を与えてくれた。
しかし、彼がドアの方を向いて振り返ると、そこには黒以外の何物もなかった。
あなたを待っていたのよ
風のような声で、彼は彼女に言った。
今までのことを謝る。
彼は目を開けて周りを見回した。彼の口は硬く乾いた表情をしていて、目は赤くふくらんでいた。彼の頬は紅潮していて、まるで泣いていたかのような表情をしていた。
失望させてごめんね。
愚かなことをしてごめんね。
何もかも、ごめんね
ドアをノックする音がして、彼の心臓はドキドキし始めた。
どうしたの?
彼はドアを見ると、外に立っている人のシルエットが見えた。柔らかい音がして、鍵が回されるような音がした。
それはあなたです。
彼は振り向いて階段を駆け下り、ドアから外に出て家の外に出た。
彼は凍った湖の端まで走って行って、何かを見た。