辺りを見回すと、そこには荒野しかなかった。恐らくこの世界にはもう何も残っていないらしい。君の安らかに眠る表情。君の所に行けたらな、とは思うけれども。君はそれを望んでいないだろう。君がくれた命だ。君が君自身を犠牲にして、僕が生きることを望んだ。
この瞬間を思い出さずにはいられません。初めてあなたに会ったとき、心臓の鼓動が速くなり、胸に圧迫感を感じたのを覚えています。あなたの動きに合わせて、翼がひらひら、はためいていく様子。あなたがそこにいなかったら、私は知る由もなかったでしょう。
私たちの間の距離を縮めてくれたあなたの温もりを感じました。あなたは、私を窒息させるほどに抱きしめました。母を持つことがどんなことか知っています。私には母親がいませんでした。
その時、あなたはとても若く、まだ赤ちゃんでしたが、あなたは私の世界でした。あなたは私を幸せにしてくれました。
あなたがいなくなると寂しくなります。
-クロム
次に会うときには、あなたは同じ場所にいるでしょう。
草は灰のように茶色で、木はまだ成長していた