ルチアは森の中を懸命に走っていた。

ルチアは森の中を懸命に走っていた。
乱立する木々が初夏の日差しを奪い、ルチアの視界には薄暗い風景がどこまでも続いている。地表は草が密生している上に起伏が多く、いつ転んだとしてもおかしくない。すでに体力は干上がっている。それにも関わらず、足だけは忙しそうにバタバタと地表をけり続けている。

それは、血の色である濃い赤に染まった荒野の光景だった。
それは、血の色である濃い赤に染まった荒野の光景だった。
意識を失う直前、ルシアの柔らかな声が聞こえた。
ルシア「ルシア!    生きてたのか!?」
森の中で目が覚めた。
そもそも私が気付いたのは まだ森の中にいるということだけでした
それが最初に気づいたことでした。
私はまだ森の中にいた。さっきまで見ていた景色は、実は森だった。いや、私がいた場所は森だった。眠りに落ちてから1分ちょっと経っていた。
眠っていた森には、落ち葉や枝が落ちているだけだった。 
ただ一つ変わったのは、真っ赤な光が私を取り巻いていることだけだった。
私は森の中にいた。目の前には森があった。
ルシア、ここで何をしているの?
聞き覚えのある声で目が覚めた。
その声はルシアのものではなかった。久しぶりに聞いた声だったが、それに気がついた。
「 … 私だ

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