吾輩わがはいは猫である。

 吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌てのひらに載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始みはじめであろう。
という一章だが、

私は主人に猫と呼ばれ、あの山の頂上で猫として育てられました。その時の私はまだ小さな子供でした。
 
 でも、私のような顔をして生まれてきたので、この山の頂上で生きることができました。そして、やがて人間になりたいという願望が出てきたので、主人の家を出て、この山の上で生活するようになりました。
私は猫として育てられましたが、人間として生まれたので、前世では猫でした。でも、人間として生まれてきたので、猫になろうという考えはありませんでした。
 
人間になっていた時期があったと記憶しています。
私と主人は数年前から旅をしていたので、主人もかなりの高齢になっていました。本来の年齢の三分の一くらいになっていましたが、顔はまだシワシワになっていました。ベッドの上に横たわっていると痛みを感じているように見えた。
前世では剣士だったと記憶している。彼の名前はシズ。
そして、彼の目の前にはシズクという女性がいたことを覚えている。
その女性は長い髪をしていました。黒く染められた、深くて美しい赤いドレスを着ていました

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