[2.3][闇の帝王……この大広間の扉の向こうに、冥王が待っている。冥王の致死の矢には弱点がある。一本しかないことだ。それは誰かがワザと矢を受ければ、残りの者は確実に助かるということをあらわす。不必要にゴテゴテとした装飾がされた巨大な門の前で、勇者達は最後の休息を摂りながら悶々と悩んだ。
英雄たちは一晩中、本当に眠れなかった。闇の帝王は最後に眠りについたが、いつも以上に激しく目覚めていたようだ。彼は彼らを警戒して見ていた。彼の目は冷たく、表情は不吉だった。
“お前たちは終わったようだな。お前たちの生贄は、私にとっては無用の長物かもしれないが、最後の戦いではそれに劣らぬ効果を発揮した。今、私は自分の戦いの始まりを待っている。闇の帝王がやってくる」。
[2.3.2] 闇の帝王の命令闇の帝王は突然立ち上がった。立ち上がる必要はなかったのだ。立ち上がるということは、疲れているということであり、体が立ち上がるという行為をできなくなっているということである。闇の帝王はただ立ち上がった。
“誰が私に仕えるか見てみよう”
彼は大きな一歩を踏み出した。
[2.3.3] 闇の帝王の辞任闇の帝王はもう立っていなかった。地面に顔を伏せていた。彼の腕と足は抑えきれずに震えていた。闇の帝王は腕と足を上げたが、何も起こらなかった