3時の喫煙室。

3時の喫煙室。同僚が懐から取り出したライターに目が留まる。
「ほうイムコか。懐かしいね」
「水原さん、知ってんすかこれ」
「ああ、20年位前にオイルライターにハマった頃があって。よく神戸のモトコーっていう怪しげな高架下マーケットの雑貨店巡りをしたもんさ」
「へー。収穫はありましたか?」
「収穫と言えるかは分からんけど」
俺は右側の内ポケットから、いつも忍ばせているオイルライターを取り出し、彼に見せた。
「俺のと似てますね。けど、単純な造りでレトロだ」
「そうだろう。これは、フリント(火打石)とオイルタンクがカニスタ1本に収まる、結構古いタイプのライターなんだよ」

“見た目は大したものではありません。小さな炎のボタンが付いていて、それを回すとオイルに火がつきます。使い勝手の良いオイルライターです。ボタンを押すだけでオイルに火がつきます。
“オイルをキャニスターに入れて タンクを引き抜くだけで燃える
“それだけ?
“それだけ?オイルに火をつけてキャニスターから取り出すだけです。燃えているうちにかなり燃えてきます。
“かなり熱くなるまでに数回使えます”
“使いすぎたら?”
“流してしまえばいいんですよ。油がかなり熱くなっています。”
3時、私は出勤。喫煙所のある路地裏に直行。
途中で “喫煙室を使ってもいいですか?”と聞くと
“使いたいの?”
“うん、もっと使いたい”
少しガサガサと回る音が聞こえてきます。
一度振り向くと見覚えのある顔が。タバコを咥えた水原さん。
“あなたを見ていると、どうしても緊張してしまうんです」と彼は答える。”昔からの友達だから”
“びっくりしました

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