狂児ぃ!

 狂児ぃ! 悲しそうな叫び声が聞こえた。遠のきつつあった意識を無理矢理覚醒させ目を向けると、ゼエゼエ言いながら膝に手をつく聡実がいる。真っ赤な頬には玉粒の汗が滲んでいた。全力で走ってきたんやな。自分、おもろい顔しとるで。なんてことでも言ってみようかと思ったけれども、それよりも……。
「なんでこんなとこにおるの、聡実くん」
 こんなヤクザもんの集まる場所にきたらあかんやん。狂児さん怒るで。何に怯えているのか知らないが不安を宿した瞳は、それでも揺れることなくこちらを見据えていた。綺麗だ。聡実くん、君は気絶するほど綺麗やんな。「狂児死んだら、僕がもっぺん殺すからな」おお怖。二回も殺されるんか、俺。でも聡実くんやったらええかもな。嬉しいよ。
 聡実くんに会えるなんて嬉しいなあて言ったら「ばか」と一言、聡実のぐずぐずな声が聞こえた。

“彡(゚)(゚)(゚)(゚)(゚)「あー!?あーあ、わかったよ。やったよ。ここにあるよ”
優しい光と囁きのような声を感じた。私は振り向いた。その人は私を見るように目を向けていた。
“そうだね “と彼女は言った。
“あなたは正しい。ここにあるわ。受け取って。私のクレジットカードを取って”
 
私は立ち上がって頭を下げた。
“はい、受け取ります。”ありがとうございます”
“ありがとうございます”
私の視線はウェブサイトに飛んだ
“クレジットカードは?”
そこにあったのは、赤いボタンの横に笑顔の男性の写真。写真の横には小さな線が入っていた。
俺は里美のところに戻って、二人で睨み合った。
“里美くん”
“えっ!?”
“クレジットカードがあったよ”
“えっ、クレジットカード….”
“そうだよ。ここにありました。さて、私のお金を渡してくれますか?”
“無理です。クレジットカードは使ったことがない。”
“まあ、そこは間違ってないとは言えないな。でもお母さんは会社にクレジットカードを取り上げられたと言っていましたよね?”
“む、違う。私は彼女を信じていなかった。詐欺だったんだと思います。でも、会社に行ってから、クレジットカードがなくなっていることに気がついたんです。”
“まあ、母のカードだから無くなっているはず

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