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不登校となり高等学校をやめたAさんとのカウンセリングです。

Aさん:”おっきいから触っちゃダメだよ”

Aさん:”触らないで! 触らないで!」と言っていました。

Aさん:”どうしてダメなの?”

Aさん:”汚い仕事だから”

彼女は行きつけのファーストフード店に就職しました。Aさんは一日中店内でお客さんと話したり、仕事をしたり、家に帰ったりしていました。家に帰るのが楽しくて、食べた後は少し休むことができたそうです。

翌日,同じファーストフード店に知人のBさんがいたので,Aさんに「最近,友達の家に行ったの?と聞いたところ、Aさんはこう答えた。”と聞いたところ,Aさんは「いや,行ってないよ」と答えた。Bさんは「どうしてですか?と聞いた。”Aさんは「そんなに重要なことではないと思うから」と答えた。Bさんは,「本当に友達の家には行かなかったのか?Aさん「行きました。

Bさんは尋ねた。”Bさん「高校で失敗しても大丈夫なんですか?

Aさん「まだ、心配していません。

Bさん「どうやって失敗しなかったの?

Aさん「練習をしていなかったからです。

Bさん:「高校で落ちると思いますか?

Aさん「そうです。

Bさん「そのためにはどうしたらいいですか?

Aさん:「勉強を頑張ります

Photo by Elvert Barnes

不登校となり高等学校をやめたAさんとのカウンセリングです。
Aさんは,学校を辞めてからほぼ一年,外にも出ず,家にこもって過ごした後,ファストフード店でアルバイトを始めました。
ある日のこと,Aさんは,お客さんにコーヒーを渡す時にこぼしてしまい,お客さんの洋服を汚すという失敗をしてしまいました。すぐに店長が対応し,お客さんもとてもよい人だったこともあり,Aさんが叱られたりすることもなく,まったく問題はありませんでした。でもAさんは,そのことが気になってストレスになり,アルバイトに行くことができなくなってしまいました。そんな時期のカウンセリングでの対話です。

Aさん 「失敗を気にしているわけじゃないんだけど・・・。お金も貯めたいし,アルバイトには行きたい・・・。なんでだろう・・・,気になる・・・」
わたし <気になる時,どうしているの?> とBさんのストレス対処の方法を聴いてみました。すると,
Aさん 「別に,どうにもなるものじゃないから」と言いながら,無意識に左手をたててゆらしたのです。

カウンセラーである私は,この動作に意味があるのではないか,と考えるのです。Aさんは,「どうなるものじゃないから」と答えているけど,こころの奥では「気になったらこうするといいぞ」と言わんばかりに左手をゆらす動作をしたのではないか,と考えるのです。
そして,左手をたててゆらす動作を意識的にしてみるように伝えました。

わたし <何か気になることある?>
Aさん 「なにか,海のヘドロ・・・。ヘドロから湯気が出ている感じがする」
わたし 頭の上で手をユラユラゆらし,ヘドロから湯気が出ている様子をして見せる。
Aさん 「ああそんな感じ,イソギンチャクみたいです。ピンクや黄色のイソギンチャク」。
わたし <イソギンチャクは,何しているの?>
Aさん 「生きるために動いている」。

まるで,夢を見ているとあるシーンが別のシーンにパッと切り替わるように,手をゆらす動作がイソギンチャクのイメージに変わったのです。

わたし <イソギンチャクになってみたらどんな感じ?>
と,イソギンチャク側からのイメージをさらに聴いていきました。Bさんは,
Aさん 「海ってでかい。今の自分は動けない・・・,漂ってきたものを食べないといけない・・・。周りに魚がいる・・・,捕まえようとしているのかな・・・? 違う・・・。
魚はえさを運んでくる・・・」。
と自然に湧いてくるイメージを語りました。
わたし <魚の住処だね>
Aさん 「そう,持ちつ持たれつ・・・。魚は自由なんだけど,敵が来たらイソギンチャクに隠れればいいし,餌も得られる。イソギンチャクは魚が餌を運んでくるし,ヘドロはイソギンチャクが少しずつ浄化する」。
わたし <持ちつ持たれつでアルバイトするのはどう?>
Aさん 「ああ・・・,いいかも・・・。それぞれなんだけど助け合っている。黒いヘドロも,持ちつ持たれつの関係の大切さを気づかせてくれるもの。ヘドロがあることは大切。今まで持ちつ持たれつができなかったのかな・・・」
と語りました。
 
Aさんはそれまで何事も一人で頑張るタイプで,人に頼ることが苦手だったようです。
ストレスになった出来事についての対話を通して,Aさんは「持ちつ持たれつ」の関係,相互に支え合う関係が大切であるという気づきが得られたのです。
もちろんこの後アルバイトに出かけられるようになりました。

 カウンセリングは,心理臨床という言い方をすることがあります。臨床とはもともと死にゆく人の床に臨む,という意味だそうです。ですから,その人が悩んでいる問題について単にこうしたらいいよとなどと教えられるものではありません。
しかし,自分だけではどうにもならないような問題や出来事であっても,傍で一緒に同じ問題や出来事を眺め,考え,対話をすることで,別の見方や乗り越える方法が見つかったり,バージョンアップした自分が創造されることがあるのです。

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