その日は雨が静かに降り続いていた。

その日は雨が静かに降り続いていた。
遠く聞こえる雨音は、私の心を癒すのには少し足りなかったが、幾分心が安らいだ気がした。
「あれから何年経ったのだろう・・・」
そう呟いた言葉は自分以外誰の耳にも届かない。
大気を揺らすだけの空虚なささやき。

“ごめんなさい”
私の考えを聞いていた男性の一人が口を開いた。
顔は青白く、目は赤くなっていたが、何も言おうとしない様子だった。
“お疲れ様でした。でも、もう終わりました。私たちは帰らなければなりません。”
馬車の後ろにいた男たちがそう言った。
“このままでは危険なので、帰るまでお預けです”
“私たちを置いていくの?”
“ええ、すぐに戻ってきます。急いで持ち物を運び出してください。” 男はそう言った。
他の男たちもそれに応じてうなずいた。
その中の一人が話した。
“それでは、あなたにお任せします。死んでも構いません」。
“私は・・・わかりました”
私は一人になった。
雨が小降りになってきた。
私が楽しんでいると、遠くから女性の声が聞こえてきた。
その声に続いて、雨の音、風の音、足音が聞こえてきた。
“雨が止んだの?”
“いや、雨は止んだよ”
“でも、まだ降ってるよ”
“No, it’s still falling.”
“でも、水が地面を叩く音がうるさいんだよね”
私は空を見上げた。
空は雲に覆われていた。

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