「なにかお前悩んでる?

「なにかお前悩んでる?最近おかしいけど」ニコライが言う。どうしてこいつはこういうところが変に鋭いのだろう。図星をつかれてクラウスはそっとため息をついた。これまでひとり抱えていたものを、いっそここで今打ち明けてしまおうか。同性が好きなことには自分でとうに気がついていたけれど、それが、その対象が極々身近な男だったのだと。

“I’m sorry…”

“何か気になることでもあるのか?最近、お前の様子がおかしいぞ」とクラウス。指摘されたクラウスは、そっとため息をついた。この人、なんでこんなに察しがいいんだろう。クラウスは考え込んで顔をしかめる。彼自身も察しが良いことは知っていた。また、クラウスが人を知ることに長けていることも知っていた。だからこそ、クラウスが自分の悩みを見つける直感を持っていることは、とても意外だった。クラウスはいつも私のことを知っていた。彼はいつも私の肩越しに見ていた。それは単に私が彼に見られたくないからだと思っていたけど、間違っていたわ。私は見られていたのだ

“ごめん 何か気になることでも?” と聞いた。

“よくわからない、よくわからないけど、今すぐにでもそうしようと思っている。私はずっとあなたのことを知っていました。あなたのことを好きではなくても、あなたのことが好きだということはわかっていました。私はいつもあなたの肩越しに見ていました。それはあなたが私に見られるのを嫌がっているからだと思っていましたが、違いました。私は見られていたのです。

“ごめん、どうしたの?” と聞いてみました

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