誰かが俺の体を掴んでくる感触に、咄嗟に手探りで掴み返し、そこに居るであろう人物に勢いよく拳を振り下ろす。
その拳に硬い何かが触れた事から、どうやら俺を掴んでいた人物の何処ら辺かは殴れたら様だ。
「いってーな‼︎」
若い男性の声が聞こえる。
はて、あんな場所に若者などいただろうか。
そう思った瞬間、自分の腹部に激しい衝撃を受け、一瞬感じる痛みと吐き気に前屈みになると、その瞬間体が浮いた。
わかる、コレは担がれているのだ。
「おい、何をするんだ!」
そう俺が声を張り上げた瞬間、何者かが俺の頭を掴んだ。
「お前はエマの指示通りに動けないのか」
そういや、さっきの電話でそんなことを言われた気もするな。
一瞬で冷静になると、遠くから「ルカ様!」と言う叫び声が聞こえた。
俺をつけていた誰かだろう。
この声聞き覚えがあるな、誰だったか。
「やめろ、離せ‼︎」
一先ずそれらしく暴れると、先ほどより抵抗がない事に気づいたのか、俺はそのまま何処かへと運ばれ始めた。
背後から銃声が聞こえる事から、何者かが必死に俺を取り戻そうとしているのだろう。
だが俺は、そんな誰かの期待に応えることはなく、そのまま何処か狭い場所に詰め込まれた。
エンジン音が聞こえ、車に乗せられた事を理解する。
しかも、この窮屈さはトランクだろう。
“ルーク様、なぜあんなところに行かなければならなかったのですか?”
私はひっくり返って、私をつかんだ人に聞いてみた。”君の言うとおり、私ではなかった。
まあ、いつか喧嘩に巻き込まれたときのために言っておくけどね。”
“おい、そんなこと言うなよ。
思っていることを私に言わなくてもいいんだよ」。
“でも、ルーク様、なんでいつもここにいるんですか?”
“あなたを信じているからよ。
あなたを信じられなかったら、誰を信じられるの?
だからこそだよ。
私はここにいる」。
“あなたは間違っています。
というか、何が言いたいんだ?
あなたにはいてほしくないの」。
“だからこそ、一緒に来たくないなら来ないでくれ”
“私はルーク様の一部になりたくありません。
私は別の人間になりたいのです”
“あなたは一人ではありません、私はここにいます。
私はここに、あなたはここに、私たちはここに”
と言って、カフェに戻っていきました。
彼は私の言葉を追いかけているような気がしたし、おそらくカフェの窓からも私の姿が見えていただろう。
カフェでお茶を飲んでいると、彼が後ろからやってきて、私を地面に引き倒したのです