先生が殺害されたように見える部屋は、ドアも窓も内側から鍵がかかっており犯人が抜け出すことは不可能とおもわれた。複数の容疑者のうち、先生の死亡推定時刻にアリバイの無い西山弘樹は当初犯行を否認していたが、殺害現場が密室状態であったことを知ると、念力による殺人であると主張した。それが本当であるとしても、刑法上不能犯ということになり、西村を罪に問うことはできない。この事件の真相はいかなるものか。
被害者である若い女性、釘宮さつきの遺体が発見され、警察が直ちに捜査を開始したところ、殺害されたのは、教師の教え子である高橋清であることがすぐに判明した。高橋清は、母親が病気で病院に連れて行った後、誰にも行き先を告げずにしばらく行方不明になっていた。しばらくの間、発見されていなかった。警察は、清が何者かに誘拐されて師範学校に連れてこられたのではないかと推測していたが、事件は解決しなかった。