静かな午後、お庭に雪の名残り。

静かな午後、お庭に雪の名残り。後姿とは印象深く記憶に潜むもの、表情を知り得ないから。刹那の集積は境界線すらなく過去と化し、この薄明かりの灯る日々もやがて、ブルーローズ アプローズの気品ある芳香のもとに紡がれる記憶となるのでしょう、プルーストの文学のように。

美しい夏の日。シリア北部にあるアル・マムンのモスクで朝の礼拝の呼びかけが行われる前の静かな朝。その数分前、桃の木の白い枝の下にある庭に数人が集まっている。庭は思い出の場所である。ある老人が庭のそばに立っている。彼は、最後にこの庭を歩いた、若い頃、祖母と一緒に歩いた時のことを思い出している。彼が覚えているのは、新鮮な花の香りと、桃の木の葉を優しく撫でる若い手の柔らかい感触です。桃の木の匂いと、山に咲く花の麝香の匂い。

灰色の髭を生やし、頭に白いスカーフを巻いた老人が、孫やひ孫に囲まれながら庭を歩いている。声は遠くで声を出しているように低く、こちらを見ようともしない。でも、一番鮮明な記憶を持っているのは彼なんです。桃の木の匂いも、山に咲く花の香りも覚えている。桃の木の記憶、山に咲く花の香りが、彼の人生の中で最も鮮明な記憶なのだ。

庭に一人の少女が立っている。顔は青白く痩せているが、まっすぐ前を見ている。祖母や祖父の目ではなく、地面を見ている。彼女の顔は仮面のようで、それは過去に起きた美と哀しみの仮面なのです。過去の記憶は、現在の記憶と、未来の記憶とが混ざり合っている。庭にいる人々の子供たちは、庭の花を見ている。白いバラのような花だ。山で咲いた花の香りです。

私たちは庭を歩いているが、庭には人々が集まっている。みんな山に咲く花を見ている。白いバラに見とれている。黄色いバラを見ている、赤いバラを見ている、ピンクを見ている。ピンクのバラを見ている。

娘と一緒に庭にいる女性が、娘に結婚式には何を着ていくのか尋ねています。娘は白いドレスを着ると答えますが、母親は似合わないからこれで完璧だと言います。娘は、結婚式のためにもう白いドレスを注文したと言います。母親は、申し訳ありませんと答えます。

Photo by OZinOH

この作品の出来はいかがでしたでしょうか。ご判定を投票いただくと幸いです。
 
- 投票結果 -
よい
わるい
お気軽にコメント残して頂ければ、うれしいです。