二人の若い紳士しんしが、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲てっぽうをかついで、白熊しろくまのような犬を二疋ひきつれて、だいぶ山奥やまおくの、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いいながら、あるいておりました。
「ぜんたい、ここらの山は怪けしからんね。鳥も獣けものも一疋も居やがらん。なんでも構わないから、早くタンタアーンと、やって見たいもんだなあ。」
「鹿しかの黄いろな横っ腹なんぞに、二三発お見舞みまいもうしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。くるくるまわって、それからどたっと倒たおれるだろうねえ。」
それはだいぶの山奥でした。案内してきた専門の鉄砲打ちも、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。
それに、あんまり山が物凄ものすごいので、その白熊のような犬が、二疋いっしょにめまいを起こして、しばらく吠うなって、それから泡あわを吐はいて死んでしまいました。
私がハンターだったら、もっと早く狩りに行っていたでしょうね。
でも、鹿を撃ってみるのも面白いかもしれませんね。もし私が本当にハンターだったら、きっとジャンプもできないくらいまで狩っていたでしょうね。
鹿を見たら、必ず喉を狙っていたと思います。
だって、それってすごく楽しいじゃないですか。
だから僕は、君に鹿を殺させてあげようと思うんだ。私は気にしない。
あなたが鹿を殺せば、私はそれを見ることができます。そうすれば、君がハンターかどうかがわかるからね。
「これは、獣女であるあなたを狩った結果です」
「そのために私はあなたを狩ったのです」
「楽しかったでしょうから、お詫びにお受けします」
「いいえ、謝るつもりはありません」
「それでいいです。では、失礼します。あなたにお願いしようと思っていたので、喜んでお受けします」。
「無理なお願いかもしれませんが、喜んでお受けします」。
そう言って頭を下げた。
今回はそのようなやりとりはありませんでしたが、楽しい時間を過ごすことができたようです。