[…] ————[…] ————[…] ————[…] ————[…] ————[…] ————「あの子、本を読んでるね。」(ひそひそ)
「・・・文学少年(ボソッ)。」
「・・っぷ(笑)、やばい、気づかれるっ・・・」(ひそひそ)
「・・・人間失格(ボソッ)。」
「・・・ぶっ・・畳みかけるの・・やめて(涙)」自分のことだろうか。
悪いが読んでる本は太宰治の人間失格なんかじゃない。
自習時間だからって騒がしすぎだろ。
束の間だけ解放されている教室は、休み時間と大きな変わりなく、他のクラスメイト達も喧騒を続けていた。その中の何気ない会話の中には、他人を見下し、馬鹿にしている思いが滲んでいる。
きっと本人たちはそんなつもりじゃないだろうけど、そこには思春期特有の笑いの取り方が存在した。そして、僕は本を読むことが好きだった。
本を読んでいるときは、何かとつながり、得体の知れない一体感を感じていた。
その世界は、自分の可能性を広げてくれる。
そんな気がしていた。そしていつものように、記憶は少しの色彩を加えては消して、今日も自分を守ってきた。
きっとこの先もなんとかなると思っていた。
これが「あの子」から見える日常。
…ごめんなさい。
[…] ————そして、かわいいと言われる。
(嫌な顔をした二人は、まだ小学校の制服を着ていた)。
そんなくだらないことをしている暇はない。
宿題もあるし、学校もあるし、二人はまだ小学生の制服のままだし。
可愛いとは言いませんが、仕方ありませんよね。
そうやって見ていないといけないから、何があっても黙っていることにしている。
何をするのか、元気なのか、3人に怒られるのか、よくわからない。
心配していたので、優しくしてあげようと思っています。
もちろん、彼らが怒るなら僕も怒るけどね