※以下の話は、のばまんパークを訪れたある親子についてのものである。

※以下の話は、のばまんパークを訪れたある親子についてのものである。

「ママ、今日はどこへいくの?」
「遊園地よ。この前テレビで『のばまんパーク』ってやってたでしょ。」
 けちんぼなママが、遊園地に行こうって言うのはすごく珍しかった。でも、ママは無料のものと流行りのものが大好きみたい。ママ達の間でも、のばまんパークの評判はすごくいいみたいだし、ママが行きたくなるのも、少しわかる。
 でも、私は知ってる。友達の恵美瑠ちゃんが、五日前から学校に来ていないことを。その前の日に、恵美瑠ちゃんが「明日のばまんパークに行くの楽しみ」って言ってたことを。
「さあ、着いたわ!」
 ママはゲートを潜るなり楽しそうに言った。
「元取るまで楽しんじゃいましょう!」
 アトラクションは思ったより面白かった。そもそも遊園地に来ることなんて滅多になかったからかもしれないけれど、全部に新鮮な驚きがあって楽しかった。これが無料なんて信じられなかった。
 その後、ママと一緒に「軟禁コースター」に並んだ。ママはうきうきしていて、私の話を全然聞いてくれない。仕方なく周りを見渡した。すると、
「恵美瑠ちゃん・・・?」
 信じられない光景があった。通路から見えるあの島、何故か人がいっぱい居て騒がしい島に、恵美瑠ちゃんがいた。親は居なくて、少し身体が痩せ細っていた。心なしかスカートが若干濡れているようにも見えた。恵美瑠ちゃんは心細そうに周りを見渡していたけど、こっちに気がつくと目を見開いて、声をあげた。
「・・・・・・げて!にげて!こ・・・へこな・・・おねがい!!・・」
 その声は周りの騒がしさに紛れてしまってたけれど、その島が危険だということははっきり伝わった。それに、なんということだろう、あの島は、今私たちが並んでいる軟禁コースターの出口と繋がっている。
 私はママに逃げようと言った。この列を離れよう、お願いと懇願した。でもママは、何をそんなに慌てているの、流行りに乗らないの? と、聞いてくれなかった。ママはパパの「無料と流行りに踊らされる人ほど哀れなものはない」という言葉を、覚えていないのだろうか?
 私は怖くなって、列から逃げ出した。途中で係の人が無理やり列に並ばせようとしていたけど、うまくかわして抜け出した。振り返ってみると、ママが丁度軟禁コースターに乗るところだった。ママは私を探しているみたいだったけれど、係の人に誘導されて乗っていった。

 その後、ママはいつまで経っても、家に帰ってこなかった。
 次の日に学校に相談してから、色々あったけれど、最終的にパパが身柄を引き取ってくれた。パパはなんだか申し訳なさそうだった。

 そのさらに後、信じられないことに気付いてしまった。
 ママの戸籍がなくなっていた。ママは行方不明届けが出てただけのはずで、死んだとも聞かされていない。それに、ママの写真も名前も全部、卒業アルバムや所持品や記録からなくなっていた。ママの存在が、この世から消え去ってしまったみたいだった。
 何が原因かはわからなかった。でも確実に、あの遊園地に行ったことが関連しているらしかった。もしかしたら私も、ママと同じように存在を消されてしまうかもしれない・・・そう考えるだけで、怖くていても立ってもいられなかった。

まるで夢を見ているようでした。ジェットコースターのような乗り物で、上にも下にも飛んでいきました。アトラクションはまるで夢のようでした。乗り物はジェットコースターで、私は上にも下にも飛んで行きました。その乗り物は本当に素晴らしかった。
 
朝からずっとジェットコースターに乗っていて、今日、ついに目標を達成しました。私は朝からジェットコースターに乗っていましたが、今日、ついに目標を達成しました。
“ねえ、お金持ってる?
上着を脱ぎながら、背中の小さなポーチにお金を入れて置いた。
“What’s this?
“君は本当に遊園地が好きなのかい?”
“ママはどうしてあんなことをするのか本当にわからない!”
“えっ、まだアイスを買ってあげるよ。これはジョークか?”
上着を脱ぎながら、背中のポーチにお金を下ろした。
“あ、ねえ、ママ、このお金は私が持ってきたの?”
“ええ、絶対にそうよ。すごく嬉しいわ。こんなに幸せそうなあなたを見るのは久しぶりだわ。あなたは本当によくやっているわ、あなた。あなたを誇りに思うわ。”
母の顔は幸せに満ち溢れていた。こんなに幸せそうな母を見たことがなかった

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