若い男だった。

 若い男だった。
 シャツにジーンズのラフな格好で、携帯電話を見つめている。長髪を頭の後ろで束ねているが、その髪が汚らしい印象を与えていた。茶色で、艶がなく、束ねたゴムから幾筋も毛が跳ねている。
 そんなことより安田の目を惹いたのは、男が両肩に担いでいる巨大なリュックサックだった。
 姿をよく観察したのは、習性のようなものだ。

その男は背が低く、体は華奢だったが、顔は忘れがたい若さに満ちていた。
その若々しさは、安田が刑事であることを忘れさせるには十分すぎるほどだった。
服装は、普段家で着ているものとは少し違っていたが、彼の身長と体格にぴったり合った服であった。
“ふむ、初めて見るものだな。”
“そうですね。何か企んでいるのかなと思っていました。”
“ふむ、本当に申し訳ない。こういうのは初めてなんです。”
“あ、いえ、そういうわけではありません。一応、お名前を呼んでおきましょうか。”
安田は、この男の情報が見つからないので、名前で呼んでもいいだろうと思った

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