「….…控えて下さい、長官。

「….…控えて下さい、長官。二人きりでもない場所で、誰かが見ていたらどうするんです?」
私の予想外の行動に対して、アルバートは気怠そうな、困ったような顔をして、目を合わせようとしない。
「パーティーが終わってからもうほとんどの者は帰ったし、誰も見ていないさ」
「本当に?先程下の庭でも物音がしたのですが…」
「さあ…猫でも紛れ込んのではないのかね?……ところで君、キスをした時から随分と顔が赤いが…照れている君も美しいな、もっと顔が見たい、こちらも向いて頂いても?」
アルバートと恋仲になってしばらく経つが、いつもアルバートは恋にはどこか純情な素振りを見せる。
「揶揄わないで下さい…そ、そのようなことを言って話を逸らすだなんて…」
私の発言にわずかに動揺したのか、少しだけ早口で言葉を返した。目線はふらふらとしていて、こちらとは合わないままだ。
「ああ、そうだった、私がここで君に口付けたことについては深く謝罪しよう。それで話を戻すと、君は先程、二人きりでもない場所で、といったね?」
「?…ええ」
「その言い方だと二人きりの時にはキスをしても構わないという風に思えるな。今後そのようなことをするのは二人きりの時にしよう、そう、二人きりの時に」
そういって私はアルバートの唇を意味ありげに撫でた。アルバートとやっとこちらを向いた。
「…貴方はなんでも、貴方の良いように物事を考える所がありますね」
私は気にせずアルバートの髪を撫でる。
「それはすまないね。しばらく恋人に会えていなかったから、私も浮かれていたようだ。近いうちにこちらから誘わせてくれ。今日はこのあたりで失礼しよう。おやすみ、アルバート。いい夜を。」
「…ええ。近頃忙しかったようにお見受けします。どうか休まれてくださいね。」
アルバートと別れて馬車に乗ってから、私はアルバートとの姿を思い出し、会話を反芻する。
ブルネットの柔らかい髪。こちらを向いていたエメラルドの瞳。
アルバートを美しいと言った私を、アルバートは揶揄うなと言った。
…アルバートにはからかったと解釈されたが、私はそれなりに本気のつもりだったんだがな….。
そういえばアルバートを見ていたあの男。随分と熱心にアルバートを見つめていたが、詳細な事実を知らずとも、誰かが既に目を付けていると分かったなら自然と諦めもつくだろう。
…それにしても、自分でもあんな風な見せつけるような行動を取るとは思わなかった。これは大人の狡さなのか、子供じみた独占欲なのか。
あのようなことをするなど、私は自分で思っているよりもずっとアルバートに惹かれているのかもしれないな…。
☆悪い男に引っかかってしまった
あの男壮大な計画を知って尚、どこか得体の知れぬ所があるのだ。まともな男だという自覚がない。
ロンドンの街は夜だといえども明るく、馬車からはガス灯の光が輝いているのが見える。それらは私のさしたる興味も呼び起こさない。
今の私の顔を見た者がいたら、つまらないと書かれていると言うだろう。私は目を伏せる。
何故ならアルバートの瞳の美しさより美しい光景を、私は知らなかったから。
何故ならどれもアルバートの瞳の美しさより、何か足りないものがあったからだ。

あなたが私を愛していると言うなら、私はあなたを愛しています。もしあなたが私を嫌いだと言うなら、私はあなたを嫌います。もしあなたがお互いに何の感情もないと言うなら、私はそれを聞いていません。
私のことを聞いているのなら、私はかわいいものが大好きな女の子で、強い男性が大好きな若い男性で、男性が大好きなシャイな女の子です。私はかわいいものと男性が大好きな女の子です。アルバートが好きです…。
私のことをお聞きになるなら、私はかわいいものと男性が大好きな女の子です。アルバートが大好きで…。
ただ、私が恋しているのは、本当に臆病で控えめな男性なんです。
彼はとてもシャイかもしれないけど、誰かに言われなくてもいつもベストを尽くす人なの。私はかわいいものと男性が大好きな女の子です。
Albertは、私に触られることに全く耐えられない人です。
家の中の雰囲気はとても静かです。
相変わらずの雰囲気で、誰もここには来ていない。
もうかなり遅いから…お昼寝した方がいいかな…。
ちょっと遅かったですね。だから、ちょうど寝るところだった。
動けないほど疲れている

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