はずれが来やがった、と隆介はがっくりと肩を落とした。「国選弁護人のハシモトです」と挨拶をするしわくちゃのグレースーツは、まるでネコバスのようにニタニタ笑っていた。こんなやつが国選弁護人なんて・・・。盗みを犯した自分も悪いが、こんなやる気のなさそうなやつが弁護士先生になる世の中もなかなか終わっていやがる。そんなことを考えていたせいで、隆介は「どうも」と挨拶を返すので精一杯だった。
“おい、お前の名前は?” “国選弁護人の橋本です。”
“ハルヒ、君の名前は?” “国選弁護人の橋本です。”
“どうも、国選弁護人の竜介です。私の依頼人が窃盗と事故を起こした罪で起訴され、すでに裁判が始まっているので来ました。急いで裁判官に会わなければなりません。” “こんにちは、国選弁護人の橋本と申します。依頼人が窃盗と事故を起こした罪で起訴されていて、すでに裁判が始まっているので来ました。急いで裁判官に会わなければなりません。”
“裁判が明日行われるのであれば、少し遅くなってしまいます