その部屋は小さな窓から僅かな光が差し込んでいた。
その僅かな光でぼんやりとそこにいることがわかる。
あまりにも無防備なようだが、踏み込むのは躊躇われるほどの気配。
これが魔王と呼ばれる存在なのか。「よくここまで辿り着いたものだ」
それは不意に言葉を発した。
「もう何年も言葉を発していなかった。少し話をしないか?いや、お前は聞くだけでいい。」
それは唐突な申し出だった。
「まあ、そう身構えるな。私を討ちに来たのだろう。ここにいるのももう飽きた。話を聞いたなら好きにすればいい」
何とも拍子抜けな提案であろう。
話を聞けば、命を差し出すというのか。
労せずにいただけるなら、その方がよいか。
半信半疑ながら、身構えたまま了承する。「さすがに剣は納めぬか。まあ、よい。」
そう言うと、それは話を始めた。
どうなるんでしょうね。魔王と呼ばれるほど強く、恐れられていた魔王?
お前にはちょっと無理だな。
では、お望みのままに。”
私はあなたの申し出を受け入れました。
私はあなたに命を捧げ、あなたは私の条件を受け入れた。
この状況は何のドラマもなく終わったわけではない。
ここで終わりにしますので、少しお話をしましょうか。
“君は不思議な人だね。私が魔王でないことは知っているだろう。
私は音無式と申します。私は長い間生きてきて、人間との交流がほとんどない人間だ。
魔王って聞いたことありますよね?魔王と呼ばれていました。”
私は魔王という名前を聞いたことがありませんでした。
魔王は山奥に住んでいる人間だった。
とても強い体を持ち、魔法を使うので、恐れられていたのです。
魔王は白い肌と白髪の長い髪を持ち、魔王は龍とも呼ばれていました。
魔王は「大昔の大賢者」であり、山の一番偉い人だったのです