吾輩わがはいは猫である。

吾輩わがはいは猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。

私がこれまでに見た唯一の人間は、この男でした。彼の毛皮はもじゃもじゃとした黒い毛に覆われていて、自分の影のようにしか見えませんでした。彼はあまりにも遠くにいたので、もじゃもじゃの毛に尻尾があるかどうかはわかりませんでした。彼はあまりにも遠くにいたので、声をかけることもできず、私は彼をじっと見つめていました。
彼はとても醜く見えたので、私はもう一度見つめることにした。彼は骸骨で、頭蓋骨も舌も歯もすべてありませんでした。頭蓋骨の中に残っていた目は赤く、特に面白いとは思わなかったが、注目に値するものだった。彼の顔をよく見てみると、そこには何もないことに気がついた。目玉が一つ、口が一つ、舌が一つ、そして皮膚がない。
まるで死体のようであった。
「…… そうだったのか」。
そのことに気づくと、涙があふれてきました。自分がどれだけ彼を愛しているかはわかっていたが、泣くことはできなかった。
泣いたら痛いんじゃないかと思ったからです

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