薄暗い部屋のなか、ふたりの男が相対する。

薄暗い部屋のなか、ふたりの男が相対する。あの夜ミンスクで……男のひとりが言いかけて口を閉ざす。われわれはその口元を眺め、語られない言葉の先に思いをめぐらせる。沈黙。誰にでも秘密はあり、観測されなかった以上、事象が確定することはない。  語らないことは時に身を守るための有用な武器だ。口にするだけで身を滅ぼすような愛もまた、注意深く隠されているのだろう。ドアの向こうの夏の日に、雪に閉ざされた冬の夜に。  もとより語られないことは山ほどあり、これもまた極めて不確実な仮定のひとつにすぎない。  時のなかで永久に宙吊りになった一点。歴史に埋もれたささやかな一夜。

初めて顔を見たときのこと。あまりにも馴染みすぎていると言われたことがあります。数年前から一緒に歩いていますが、いまだにその存在感に驚かされます。彼の顔はいつも同じなのに、彼の存在は独特だ。目の色は濃い。唇は薄く、鼻は小さい。黒い髪はきれいにカットされ、完璧に櫛が入っている。頬のラインは細く繊細だが、どこか力強さも感じさせる。まるで顔を彫刻したかのようだが、体は変わっていない。彼はいつも私と一緒にいて、いつも私を見ている。どちらかが不機嫌になると、いつも私たちの前に現れて手を貸してくれる。彼は私が必要とするときにはいつもそこにいるのに、私のためになることは一度もない。私はこの日のことを決して忘れません。彼と出会った時のことをずっと覚えています。彼の笑顔が忘れられません。彼は、なぜ笑っているのか分からないように、とても簡単に笑っていました。私はとても幸せでした。彼の笑顔だけは、今でも変わりません。

この作品の出来はいかがでしたでしょうか。ご判定を投票いただくと幸いです。
 
- 投票結果 -
よい
わるい
お気軽にコメント残して頂ければ、うれしいです。