砕け散る世界。滅びた星。儚い故に美しい夢。揺蕩い巡る。
He was a hero. 彼は伝説の人だった。
少年はバスタブの縁に座り、砕け散ったばかりの心を掴もうとしていた。水は冷たかったが、彼は気にしなかった。彼はそれに慣れていたからだ。
彼は世界の端にいたのだ。
彼は目を閉じた。
周りを見渡した。
バスタブはまだそこにあった。
バスタブ、バスタブ、バスタブ…
バスタブが…
少年は自分を見下ろした。
彼は英雄だった。
彼は伝説の人だった。
彼の心はすでに痛んでいた。彼は肩越しに振り返った。少年の視線の先には、バスタブがあった。彼は手を伸ばし、浴槽の表面に手で触れた。
彼は水に触れたくはなかった。外に出たかったのだ。
彼は、世界が崩壊する前の、かつての自分の少年のことを再び考えた。思い出に浸っていた。
彼はヒーローだった。彼は伝説の人だった。彼の心はすでに痛んでいた。
彼は自分自身を見下ろした。
彼は英雄だった。
伝説なのだ。
そう思って、少年は目を閉じた。
周りを見渡した。
バスタブはまだそこにあった。
バスタブが、バスタブが、バスタブが…