この世界の果てでまた夢が語られる。少女の名はセクサリス。失われた記憶を歌う物語。遥か遠い昔に滅びた星。記憶は人の形を持つ。この世界の果てまで流れて落ちた。仮象の魂。内なる声。自分を確立する為の記憶。巡る夢を見る。遠くずっと遠く。まだ見ぬ場所。無数に光る物語の欠片を探す。深い空の底の様に限りなく蒼い記号の海。
(静流の声) その子の名前は セクサリス
(誠人の声) さっきも言ったように この子は 自分の中にある大切な夢を- (誠人の声) 失われた記憶の物語 (誠人の声) 遠い昔に滅びた ある惑星のことだ 彼女の記憶は人の形をしています。この世界の端まで漂ってきて落ちた。幻影の魂。内なる声。自己を確立するための記憶。(誠人の声) 僕はあちこちに行くのが夢なんだ]
(誠人の声) でも… 僕はすべてを失った
(誠人の声) 君は家族に会うことができなかった (誠人の声) 君は家族を捨てて この世の果てまでやって来たんだ (誠人の声) この世界で生きているのは 君だけだったんだ (誠人の声) とても悲しいよ]
(誠人の声) そうだよ (静流の声) この世で誰かの愛を信じられないのは 私だけなのね]
(誠人の声) それを聞きながら 一筋の涙がこぼれた
(誠人の声) ごめんね 悠治君
(誠人の声) いや いいんだよ そんなの分かってるから
彼女のそばにいた勇二は、そっと彼女の涙を拭いてあげた。
(静流の声) 誠人には もう会えないと思ってたから
(誠人の声) 今は泣いてばかりで すまないけど…
(静流の声) 僕は八代勇治 童貞です
彼女の声はいつもと変わらなかった。いつもと同じ、穏やかな声。それは、彼女が訴えるまでだ。