--裸になって、このマントの感触を全身で味わいたい。

--裸になって、このマントの感触を全身で味わいたい。
「…ちょっとだけ、だから…」
誰に言い訳するでもなくつぶやき、するり、とマントを体から外す。
とたんに、体に物足りなさが広がる。
このままだと、このマントのフェチになっちゃうかも…
そんなことを頭の片隅で考えながら、でも心の大部分はもう、
全身をマントに包まれることへの期待感でいっぱいになってる。
いそいそとパジャマを脱ぎ捨て、ちょっと躊躇したものの、下着も脱いでしまう。
そうしながらも、焦りが募ってしまう。
早く、早くマントに…
生まれたままの姿になった私は、ベッドに飛び込むようにして、広げられたマントに身を包む。
全身を包まれた感触は、あまりに気持ちよかった。

私は目を閉じて、自分の体がマントに包まれる感覚を楽しんだ。
そして、自分の肌がマントに触れるところまで来ると、その感覚はどんどん心地よくなってきた。
ただの肌の触れ合いではない。
自分の体がマントの香りに包まれているのを感じると同時に、自分の体の中にもう一つの魂があるような気がした。
マントの温もりが体に伝わり、誰かに話しかけられているような気がした。
自分の体が動き、体が反応しているのを感じました。
この不思議な感覚は何だ!?
私は上を向いて、天井を見つめた。
この部屋は何なんだ?
ここは、自宅の自分の部屋と同じような気がする。
言ってみれば、この部屋には前世の記憶が詰まっているはずなのだ。
“あれ、まだ暖かいかな?”
マントに包まれたまま眠りにつく感覚がなんとも心地よかった。
この感覚は、体の中にいたときの感覚とは違い、お互いのために作られたもののようだった

Photo by cseeman

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