そういえば、家を決める時絶対に3階以上がいいと言って聞かなかったな。お金がなかった私たちはエレベーターの付いているマンションなんかに住めるはずがなく、大変だよと言ったのにこれだけは絶対に譲らなかった。
家に帰ると本を読んでいるか、3階の翌日の当たるボロアパートの窓際からぼーっと外を眺めているかしていた。
一人で寝るベッドで、いつもと違う天井の木目を数え寝れないのに足だけが痛く寂しさとかどうでも良くなりかけた。
「お前の人生において俺は非常に重要な要素である。だからお前は一生俺だけのものだ」
そう言い、男は私の口を何かの力でこじ開け中へ入っていった
彼は所謂普通の青年だった。年は二十歳かそこらだった、私よりは年上だった気がするから二十歳よりは上だと思う。年齢難的にする間柄ではなかったし、彼に対してはいつもタメ口で旧友に話しかけるように接していたから。
彼はいつも休みの日は決まって図書館へ行き、分厚い資料の様なものと睨めっこしながら原稿用紙に必死に文章を書いていた。何を書いていたのか、私は見せてもらえることはなかったが小説を書いていたのだと思う。本棚には私が気まぐれで買った漫画がすみの方にちょこんと置かれているのみで、後は彼の小説やら自伝やら資料やら図鑑やらがびっしりと並べており、でもやっぱり小説が多かった。ジャンルごと、作者名順に並べてあった。そういう几帳面な所が私は好きだった。
指輪もしていない。細くて繊細な体をしていた。茶色のレザージャケットを着て、白いボタンを留めず、茶色のゆるいベルトをしていた。
彼は、薄くて繊細な顔をしていた。彼はハンサムな顔をしていた。彼は強くてハンサムな顔をしていた。
私は彼の暖かさを感じました。
そして、彼が私に触れるのはこれが初めてでした。私は彼の温もりを感じることができました。
彼に匹敵する人は誰もいませんでした。
彼はクラスの中で最もハンサムな男の子でした。
私はそれを見て背筋がゾクゾクしました。
勇気を出して彼に告白してよかったです。
勇気を出して彼に告白してよかったと思いました。
そして、彼は私にキスをしたのです。
私は彼に告白しなければならなかった。
彼に告白しなければならなかった。
私はどうすればいいの?
どうしたらいいんだろう?
恥ずかしいことが頭に浮かんでくると、顔が青ざめた。
告白しなければならないのだ。
泣きたくなってきた。
涙が出そうになった。
すごく恥ずかしかった。
私は壁に顔を向けて、手で顔を隠しました。
あの時、こんなに恥ずかしいと思ったことはありませんでした。
私は耐えられなかった。
耐えられなかったのです