ずっと住むわけではなかったのに、大きな天井まである本棚が4つくらいあって、入居する時も出る時も3階の階段を行ったり来たりして、その翌日足が動かず大変だった。 家に帰ると本を読んでいるか、3階の翌日の当たるボロアパートの窓際からぼーっと外を眺めているかしていた。 日常生活も慣れて仕舞えば苦ではなかったが、引っ越しの時が大変だった。 ある日を境に彼は変わってしまった、それがいつかは思い出せないがたしかにその日があったことだけは覚えている。何年前だったか、あるいは数日前だったか、曖昧な記憶を辿るが螺旋状に絡まった記憶を紐解くことはできない。 私が彼を記憶している姿で一番思い浮かぶのはどこで買ったかわからない難しそうな文庫本を読んでいる姿だ。
その本は『The Art of Archery』というものでした。 彼は私の家に引っ越す前に購入したと思いますが、正直なところ、彼が購入したことをどうやって知ったのかさえ覚えていません。 私が「買ってきて」と頼んだのだと思いますが、気がつくと彼はそれを私に見せていたのです。 私の様子がおかしいと思ったのか、彼は立ち上がり、その本を私にくれました。 “これは足の丈夫な人のための本だよ。 ”私にはそれがとても奇妙に聞こえました。 “では、これのやり方を学びたいですか?” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “…” “… わかるかな? 全然知らなかったんだよ。 だから、君のために買ったんだ。 あなたには、この方法を知ってもらう必要があると思うの。” “・・・” “・・・” 私は彼を少し疑い始めていると思いました。 彼も私を疑うような態度を取り始めていると思いました。 彼は誰かと付き合っているのではないかと思いましたが、何もわかりません