ここはとある温泉旅館、ここには悪いうわさがある。それは「美女が入浴中に、脱衣所の服がすべてなくなる」というものだ。更に温泉は旅館から離れた野外に設営されているため服が無くなった女性は旅館までの距離を全裸で移動しなければならないのだ。そして今回この屈辱を味わうことになった女性の名は
と思っていると、宿のスタッフの一人の声が頭の中に響いてきた。その声から、どうやら温泉の噂は本当のようだ。
「宿の名前はオーナーのお父さんの名前からとったという噂でいこうかな」。
「ああ、そうですか、がんばってください、でも、旅館から情報を得るのは本当に大変なんですよ」。
宿の主人のお父さんの噂が広まっていたのですが、どうすることもできませんでした。
「荒さん、旅館の情報って難しいんですね」。
肩の荷が下りた彼女は、何か情報を得るために、市内にあるもうひとつの旅館、関内へ行くことにした。温泉旅館とはいえ、秋葉原とは全く違う世界であり、裸で現れたら旅館の主人に殺されそうな気がした。
「今行く」。
そう言った瞬間、彼女の視界に赤い髪に赤い服の少女が映った。
「榛名とお聞きしました。近々、様子を見に行きますね」。
「う、うん……」。
春菜の隣にやってきたのは、優しい笑顔の可愛い女の子で、肌が透けて見えるほど明るかった。
「宿屋の主人、榛名です」。
「あ、新しい宿屋さんですね」。
かわいい女の子は、手を口元に近づけて尋ねると、お辞儀をした。
「掃除と管理を担当させていただきますので、よろしくお願いします」。
「ふふ、私も遊びに来てくれる皆さんのお世話をしなければなりません。近々いらっしゃるようでしたら、喜んでお相手させていただきますよ」。
「本当に、よろしくお願いします」。
「あ、それから最後にもう一つ。バスタオルがなかったら、探してください」。
それを聞いて、春菜はさらに肩を落とし、ため息をついた。
「あ、探してみます。ありがとうございます」。
顔を洗い終えた春菜は、だんだん緊張してきた。
「私はメイドじゃないんです。