退屈だった北風は、ある日太陽に言いました。

退屈だった北風は、ある日太陽に言いました。 「勝負をしようよ。そうだな、あの旅人のコートを先に脱がせたほうが勝ちってのはどうだい。」 力じまんの北風は、ひゅうっと脱がせて勝ち誇ってやろうと思いました。 「いいよ、やろう。君からでいいよ」 「ようし。」 北風は、力いっぱい駆け抜けて、旅人の背中を掠めました。ですが旅人は、冷たい風がふいたので、さらにコートをぎゅっと握りしめてしまいました。 「君、それは逆効果じゃないか!はは。」 笑われた北風がむっとして、 「じゃあどうやるっていうんだい。やってみなよ。」 と言うと、 悔しがる北風をよそに、太陽はひときわ光ってみせました。 するとあたりはたちまち暑いくらいになって、旅人はこれじゃあたまらないとコートを脱ぎ捨てて木陰へ走ってゆきました。 「ええっ、君、ずるいんじゃないかい。」 負けてしまった北風が、驚いて言いました。 「ずるくなんかないさ。それにぼくは君のように直接脱がせたりなんてできないんだよ。」 「どうして。」 「君からはわからないかもしれないれけど、僕、とても遠くにいるんだ。」 「うそだろう。だって僕から君が見えるよ。そんなに遠くないはずさ。」 「僕はとても大きいから、君のとこからでも見えるんだ。大きいものも遠くで見るとちいさく見えるだろう。」 「ふうん。それにしたってそんなに大きくないように見えるけどなあ。」 はぐらかされているような気がして、北風はもっと悔しくなりました。 「今日負けたのはきっとまぐれだろう。また勝負しようよ。」 「いいよ。明日、また勝負しよう。」 そう言って、太陽はしずんでゆきました。

退屈していた北風は、ある日太陽に向かって「遊ぼう。ゲームをしよう。あの旅人のコートを先に脱いだ方が勝ちというのはどうだろう?元気いっぱいの北風は、自分のコートを脱いで勝利を誇りたいと思いました。”よし、やろうじゃないか。君が先だ。北風は思いっきり突進して、旅人の背中を掠めました。しかし、冷たい風が吹き、旅人はさらにコートを強く握りしめました。逆効果ではないか?ははは。笑う北風は困って、「じゃあ、どうすればいいんだよ」と言いました。試しにやってみよう。イライラしている北風をよそに、太陽は明るく輝いていました

Photo by Oregon National Guard

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