硬い床の感覚で目が覚めた。

 硬い床の感覚で目が覚めた。私は薄暗闇の中、砂剥き出しの地面に直接寝かされているようだった。夕方なのかと思ったけれど、一瞬あとに、この世界にはもう夜が無いことを私は思い出す。 身体を起こし、周りの様子を伺ってみる。そこは、小さな廃工場のような場所だった。いくつかある窓は全てに遮光カーテンが引かれていて、カーテンの隙間から漏れてきた光が、空気中の埃を反射させて小さくきらめいている。 その暗がりの向こう側に、無数の輪郭が見えた。

それは、床に転がっていた鉄の棒がコンクリートに切り込まれたような濃紺の円だった。

倒れていた鉄の棒が切り刻まれていたのである。

その青い円は、一本の鉄の棒から作られていて、何のひびもなく円形に切り取られていた。

きっと近くのビルの人が切ったのだろうと思いました。

あまりの暗さに、横のビルにいた人の姿は見えませんでした。

  

  そんな私の横を、素早く動く男の姿が通り過ぎていった。

その人は、背が高く筋肉質で、白いひげを生やし、髪を短く切っていました。

水色のジャケットを着て、黒のズボンを履いていました。また、左腕には感電用の首輪をしており、足首から上の高さの黒い手袋をはめていた。

男の右手は胸元で握られていて、自分のいるビルを少しでも見回しているかのように周囲を見回していました。

鎖のような白いものがぶら下がっていた。

Photo by cseeman

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