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それは、寒く澄んだ春の日だった。
ちょうど日が沈む頃で、街にはあまり人影がない。
太陽は東から沈んでいくが、街の真上に沈むわけではなさそうだ。
太陽はまだ西の空から沈んでいくので、街の真上に沈むことはないのだろう。
街の明かりが消えて初めて日が沈んだのだ。
太陽と月が照らすのは、街そのものだけだった。
薄く白いハンカチを持った女性が、街並みのカウンターの前に立っていた。
地味な女性だが、ビジネススーツに身を包んでいた。
“申し訳ありません。少し遅れてしまいました。”
彼女の名前は南成歩堂。
彼女は企業のビジネス部門で常日頃から働いている人間である。
彼女は特定の企業に勤めていたわけではない。
彼女は受付嬢でもなく、警備員でもなかった。
“ああ、すみません。もう少し早く答えるべきでした。”
成歩堂は老人に紙を渡しながら答えた。
“緊急通報の依頼です。”
“えっ、緊急連絡?”
“はい、城下町周辺からの救急要請が急に増えています。よろしくお願いします。”
成歩堂は男に小さな封筒を渡した。
「はい、頑張ります」。
男は封筒を受け取り、開封した。
「手紙ですか?
「はい、あなたのクライアントからです」。
「依頼人?
“はい、これはあなたのクライアントから受け取った手紙です。”
誰が読んでも見ず知らずの人と思わせるような手つきで書かれた手紙だった。
“すごいですね。依頼主でもない人の手で書けるんですか?”
成歩堂は呆れたような表情で女性を見つめた。
“それが私の仕事です”
“ならば、なぜ他人の手で書いたのですか?”
女の顔は灰色に染まっていた。
“私でない人の手で書かなければならないのです。私ではない誰かの手で書かなければならないのです。