伴道然教授はブツブツ繰り返す。

伴道然教授はブツブツ繰り返す。「何故じゃ。何故うまく行かないのじゃ」教授は十度目の実験を投げ出して、研究ノートを不乱にめくりはじめた。そこにはボールペンで書かれた小さな文字がビッチリと書き込まれていた。彼なりの工夫なのか、5色も6色も段落によって使い分けられていたが、ケバケバしい色彩は返って読者の理解を拒んでいる。その見開きはもはや色に染められたようにしか見えなかった。教授もまたその色を追っていた。色は論理関係を示しているようだった。しかしその真の意味を知る人はもういない。この文字に意味があるかどうかを知る人も。1日3ページ、約1万2千文字を理論で埋め尽くし、10冊のノートを染め上げた時、彼の理論は完成したはずだった。

しかし、ノートの11ページ目になると、色にパターンがなく、色が全くつながっていないことに気がついた。意味がわからないのである。色が自然で論理的な順序で着色されていないのだ。

最後にノートの最後のページを書き終えたとき、教授は目を見開き、手が震え、奇妙な感覚に襲われた。なぜ、色に論理的な、美しい、明確な秩序がないのか。

“ドーネン教授?” 学生が言った。

“Hmm?” 教授は首を傾げて、学生を振り返った。”あなたは誰だと思いますか?”

“私は、とても奇妙で非論理的な配色だと思います” その学生は言った。

“色はある種の秩序に従って配置されているようですが、私には理解できません。” と教授は言った。

しかし、役に立たなかった。

“堂免教授、あなたの研究はもう終わっているはずです

Photo by giveawayboy

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