マチルドと初めて会ったのは1985年のパリであった。彼女は自閉症を患いつつも、図書館司書として生活の糧を得ていた。すでに両親は他界しており、親しい友人もなく、天涯孤独の身の上であった。彼女のタスクはいかにしてすべての行為を日常化していくか、その一点にあった。あれは5月の薫風が吹くリヨン駅。コルシカ旅行を終えてマルセイユ経由でパリに入った僕との運命的な出会いであった。
「最初の仕事を終えたとき、私はあなたに気づいた。通りを歩いていたのは君だけだった。背が高かったから、命令の代理人として先に派遣されたのはあなただと思った。でも、あなたはパリの真ん中を歩いていたんです」。 「ああ、遅くなってごめんなさい。「大聖堂を案内するはずだったんだ。忙しくて寝ちゃったの。もう寝る時間よ」。 「いつも遅いの? 「父のせいです。よく遅刻するんだ。戦闘任務で召集されたことがあるんだ。仲間の前で何度も冗談を言われた。朝起きるのが億劫なんだ。怠け者だから寝る必要がない。私は怠け者だから、朝起きて宿題を終わらせない。怠け者だから本を読まない。怠け者だから、夜遊びするために徹夜する。朝6時にベッドを出るほど怠け者だ。自分の服も着ないほど怠惰だ。シャワーから出る前に服を着るほど怠け者だ。食べる前に服を着るほど怠け者だ。昼休みも取らないほど怠け者なんです」。 「ご両親はあなたを学校にも行かせている。「生まれる前から学校に通わせていた。君は病院で生まれたんだ」