マチルドと初めて会ったのは1985年のパリであった。彼女は自閉症を患いつつも、図書館司書として生活の糧を得ていた。すでに両親は他界しており、親しい友人もなく、天涯孤独の身の上であった。彼女のタスクはいかにしてすべての行為を日常化していくか、その一点にあった。あれは5月の薫風が吹くリヨン駅。コルシカ旅行を終えてマルセイユ経由でパリに入った僕との運命的な出会いであった。
とても優しい子だった。とても知的だった。容姿端麗。でも彼女は学校でいじめられていた。男の子に突き飛ばされ、眼鏡を失くしたと彼女が言った日のことを覚えている。彼女は図書室の階段に座り、目を閉じて本を抱えていた。彼女は14歳くらいだった。 少年は彼女を脇に連れて行き、こう言った。マチルドは顔をしかめて言った。存在すら知らなかった原子の原子エネルギーについて、とても興味深い記事だった。半年も読んでいたのよ!とても悲しかった。ただ家に帰りたかった。ただ家に帰りたかった!」。 そう言って彼は座り、彼女に雑誌を渡した。少年は最高の笑顔を浮かべ、手を伸ばして彼女の顔の横を叩いた。それが彼女の記憶に残っている。 眼鏡を失ってから、彼女は見捨てられたように感じた。彼女はとても孤独で、ある男性に恋をしていた。彼はイケメンで、鼻筋が通っていて、眼鏡をかけていた。彼は彼女を誘うこともなく、付き合うこともなかった。彼はとても優しくて、彼女に素敵な服を買ってくれたり、花を買ってくれたりした。でも、彼女は孤独だった。彼と一緒にいるのはとてもとても辛かった。彼は一度も付き合わなかった。彼は彼女を好きではなかった。彼女は愛されていると感じたことがなかった。 マチルドがスイスに来たとき、彼女はジュネーブの病院にいた。彼女はまだ若く、家族もいなかった