道端に倒れるひとりの少女

道端に倒れるひとりの少女

少女の目が見開かれたように見えた。 「白坂さん、生きていたんですね」。 「そうです!」。 「ちょっとびっくりしましたけど…」。 「そんなことないですよ…生きていてくれて嬉しいです。今朝学校に来なかったとしても、心配してたと思うよ」。 「ごめんね、心配かけて」。 「何を謝るの? 私は苛立った。 「ただ謝りたかっただけです」。 「いや、謝る必要はない。とにかく仕事を始めよう」。 「ええ、そうしましょう」。 「何をするんですか? 「書類をまとめる」。 やらなきゃいけないんだ。 「私がやる」。 「ということは……」。 「苦手なんです」。 「得意なら書けば? 「得意なわけでもないし……」。 「じゃあ、どう書くのが一番いいんだ? 「わからない。推測しかできない」。 「では、私が指導しましょう」。 「そうですね…参考になります」。 「いや、そうではない。 「いや、それはない」。 「なに? 「教えてもらう必要はない。自分で教えられる」。 私はこの少女の行動を見たことがある。 彼女はとても意志が強く、自分のためならどんなことでもする。 「その通りだ。結局、証人になるのは同じ人間なんだから……」。 「わかりました」。 「だったら、できることをやればいい」。 「何ですか? 「まあ、簡単なことです。警察が来て、病院に連れて行く。私はただ、あなたの無事を確認したいだけなんですね」。 「わかりました、よろしくお願いします」

Photo by cseeman

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