仮病で学校をズル休みした。理由は特に無い。ただ、途中で行くのが億劫になっただけだった。だから、途中で電車を降りて、登校中に体調を崩したという連絡をして、休んだ。家に連絡が行っている可能性はあるが、そこは博打で下校時間まで時間を潰す事にした。そこで、近所の遊園地に来た。お一人様で入るのは勇気がいるけど、お手頃価格で半日近くの時間が潰せる場所といえばここだろう。久々の遊園地の中は昔と変わらずメルヘンチックで、軽快な音楽が遠くで流れている。平日の昼間だからか、貸し切りのような静けさだった。真っ先にお気に入りの空中ブランコへ向かうと、そこには、一人だけ先客がいた。好奇心から先客の隣の席を選ぶと、驚くべき事に、先客は見知った顔だった。「タイヨウ君じゃないですの!?」先客もといタイヨウ君は、小学校以来の幼馴染だった。タイヨウ君が、こっちを向く。そして……。「その制服、レザ専のだな、やっぱ入ってたか」と、私のレーザービーム専門学校の制服をまじまじと見た。「そういうタイヨウ君はデスシャッター専門校に入ってらしたんですわね」「おう、デスシャは奥が深くて楽しいぜ。オリヒメはどうよ?レザ専」久々に名前を呼ばれ、少し懐かしい気持ちになった。「あれから更に色んなビームが撃てるようになりましてよ!」「最初の頃からスキルツリーバグってたもんな、お前」その時、けたたましいブザーの音と共にアナウンスが鳴り響く。「はい、前面のバーをしっかり下ろして、浮遊中はてすりから手を離すなどの行為はご遠慮下さい。それでは空の旅へいってらっしゃい!」座っていたブランコがふわりと浮き、どんどん上へ引き上げられる。「でもさー、せっかく専門校で勉強してるのに、人に向けちゃダメってのは無いよな〜」騒がしい機械の音の中、彼はそう叫んだ。「人に向けたら死んじゃいましてよ〜!?」と、私は答える。「デスシャッターだぜ!?デス!そういうもんだろ!人に向けてバンバン撃ちてぇよ!お前は違うのか?」ブランコ群がくるくると回され始める。「あなたは何故そんなに好戦的なのです?」「この世界が嫌だからかなぁ……」
と質問を投げかけると、彼は静かに答えた。ただの仮病です」。「ええ、きっと大丈夫ですよ」。すぐに握手をすると、彼は明るく微笑み返した。そのときはわからなかったが、空中ブランコの男の笑顔は、あのとき私が見た泰葉の笑顔と同じだった。その泰葉という男は、私のクラスに出入りするようになった。彼が来て以来、誰も彼を問題視することはなかった。私は最初に彼と友達になった。彼は他の人をも友達だと思わせるような人だ。名前が違うから、見た目が違うから、共通点が少ないということはない。私が泰葉さんに声をかけたのは、何がきっかけだったのかわからないが、それこそ何も聞くことがないと思っていたからこそ、友達になってくれたのだ。私のクラスでは、泰葉は物静かで内向的な性格で人気があった。他の生徒から顔は見えないが、顔見知りには気さくに話しかけられるタイプであることは確かだった。週末には公園で遊び、数ヶ月前からカンフーの練習を始めた。全国武道大会でメダルを獲得したこともある。私にとっては、単純に優しくていい人だった。彼の顔を見ると、まるで幼なじみの顔を見ているようだった。泰葉さんと同じように、彼はいつも少し変だった。