カラスが騒いでいる。何か悪いことでもあったのだろうか。カラスの声がする方向へ向かうと、カラスの声が、人間の言葉に聞こえたのだ。「山の方に怖いものがいるらしいぞ。」私はその「怖いもの」を倒そうとカラスに約束した。そして、カラスと一緒に山の方へ向かった。
その夜、前と同じ洞窟で休んでいると、また人の声がした。「山の上で怖いものが聞こえた 」と。でも、今度はもっと大きな声で、女の人の声のようだった。 夜中に聞いた声と同じだった。 「ん、ん、ん」。 「今、あなたにできることは何もない」。 え? 「山の上で何か見たって言ってたけど、そんな話、初めて聞いたよ。信じられない。信じられない」。 「いや、そんなことはないよ」。 「いや、本当かもしれない」。 「何を言っているんだ?……正直に言うなら、あなたは夜中にそんなことを言った」。 「言ったよ!言ったよ!」。 「言ってないと思ってた!」。 「そんなことはない、言ったよ!」。 「自分のことで精一杯なんだね」。 「もう一人になりたくない」。 「えっ、もう一人になりたくないの? 「ええ!」。 「………」 私は黙っていた。 「どういう意味?前も一人だったでしょ?どこまで話したっけ? 「いいえ、ごめんなさい、それは違います」。 「そうなんですか?じゃあ、行くよ。さっき一人でいたことは誰にも言わないから」。 え?え? 「そんなことできないって言わないでよ。山の上で何か見たんだろ?任せろ、行け」。 「やります!やってやる、やってやる、あいつを殺してやる!」