「いいわ。

「いいわ。じゃあ、今から絞め技をかけてあげる」と言いながら、私の心は高鳴っていた。「どきどき」と胸の鼓動が激しくなる。この子に柔道の真髄を伝えたい、そして、この子の成長を見守りたいという強い思いが湧き上がってきた。新たな指導の始まりに、期待と責任感が入り混じる中、私は深呼吸をした。「ふぅ…」と息を整え、これから始まる特別な練習に向けて心を引き締めた。麗子先輩が私の後ろに立ち、優しく襟を掴んだ。その手の温もりが、私の背中を通して全身に広がっていくようだった。緊張が高まる。道着の両襟が軽く私の首を圧迫すると、「あ、あの私まだ心の準備が…」と狼狽えた私の声が、かすれて聞こえた。「大丈夫よ」と麗子先輩は涙目の私を覗き込んで微笑んだ。その瞳には、深い慈愛の光が宿っていた。「お母さんみたいに守ってあげるから。これから一緒に強くなりましょうね」麗子先輩の言葉に、私の心は期待と不安で揺れ動いた。その腕の中で、不思議と母の温もりを感じた。「へ?強く…でも…」と呟く間もなく、麗子先輩の手が私の襟に伸びた。その動きは優雅で、まるで舞踊のようだった。「ちょ、ちょっと待って…」私の言葉が途切れる中、麗子先輩はキュッと襟を絞めた。突然の圧迫感に、私の体が硬直する。「あ、あの…やっぱり…」焦りと恐怖が入り混じった声が喉から漏れた。慌てて、タップを連打する。「や、やめて…お願い…」私の声は震え、目に涙が浮かんだ。「大丈夫よ、信じて」麗子先輩の声は穏やかだったが、絞めをやめる気配はない。

静かに」 言うんだ 言うんだ 言って!」。私は先生に懇願した。聞いてもらいたかったのだ。私の胸にいる玲子先輩は、美しく繊細な童顔だった。彼女の柔らかな表情は神秘的な美しさを放ち、私の口は潤み始めた。臆病な私は何が起こっているのか聞くことができなかったが、話すのは良くないとわかっていた。玲子先輩に言ってもらいたかった。それは私一人ではできないことだった。玲子先輩はここに戻ってこなければならない。玲子先輩は私に言わなければならない。私の背中にあった彼女の手の圧力が消え、暖かい光だけが彼女から発せられるのを感じた。「ああ、帰ってきたんだね」 彼女からの温もりが戻ってきたのを感じた。「うれしいわ」 玲子先輩は嬉しそうに微笑んだ。「来てくれてありがとう」 私はさらに安堵した。やっと母の声が聞けたのだ。玲子先輩は話し始めた。「あなたが帰ってきたから、柔道を始めましょう」。私は唖然とした。「柔道って何?と私は尋ねた。私はまだショックを受けていた。「どういう意味ですか」「スポーツではありません」玲子先輩は私に答えた。「ルールはない。「パートナーはいるの?と私は尋ねた。玲子先輩はうなずいた。「はい。彼女は私の先生です」。「私と一緒に練習するのは彼女です」 「ミキ先輩も私の先生です。「まずは柔道から始めて、それから他の練習もやっていきます」

Photo by UGArdener

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