「異能力」。 それは、生物が本来持ち得ないはずの超常的な能力を指す言葉である。 そんな「異能力」を誰もが持っていて当たり前の時代が存在した。 そう、誰もが……。「ただいま」夕方。飼い主の帰宅の声に、二階の部屋でうずくまっていた飼い猫、アリスはキャットドアから飛び出し、一階へ降りていった。「おかえりなさいです、おりひめ」そしてアリスは人の言葉を発した。それは、彼女の飼い主、姫井織姫の持つ「何かを出来るようにさせられる」異能力の賜物だった。「アリス、いい子でお留守番出来た?」「ありすはいいこでした。おやつがほしいです」「はいはい」そう言って台所へ向かう織姫の後をアリスはついて行った。そしてホクホク顔でささみバーにありつく。それはいつもの日常の一風景だった。「そうだ、きょうのよるはちじにねこのしゅうかいがあります。でかけてきてもいいですか?」「猫に時間の概念が……!?いやまあ、いいけど」「やった。うれしいので、もっとおやつがほしいです」「食べ過ぎはダメ!」織姫に怒られ、アリスはしゅんとしょぼくれた。それから日は暮れ、夕飯時も過ぎ、八時が近付いた。キャットドアから出ていったアリスは、集会のある空き地へ急いだ。空き地へやってくると、多くの猫達が囲む一匹の猫が、不機嫌にシャー、と吠えた。「遅刻だ!愚か者!」土地のボス猫、目傷である。
僕の行きつけのレストランでミーティングがあるんだ。詳細は後で話すよ」。「それはいいね」 「いや、その、午前中に猫のミーティングがあるんだ」 「出かけるなら遅くなるよ。行きつけのレストランで打ち合わせをするだけだから。詳しいことは後で話すよ」。「後で電話する」 「いや、打ち合わせがあるんだ。「後で電話する。「いや、猫の会議があるんだ」 それは普通の日だった。アリスは毎日通っていた場所にいた。猫も同じ場所に行っていた。毎日通っていた場所には猫の集会があり、毎日通っている場所には猫の集会があった。彼女が毎日通っていた場所は、彼女が毎日通っていた場所であり、彼女が毎日通っていた場所は、彼女が毎日通っていた場所であった