「異能力」。 それは、生物が本来持ち得ないはずの超常的な能力を指す言葉である。 そんな「異能力」を誰もが持っていて当たり前の時代が存在した。 そう、誰もが……。「ただいま」夕方。飼い主の帰宅の声に、二階の部屋でうずくまっていた飼い猫、アリスはキャットドアから飛び出し、一階へ降りていった。「おかえりなさいです、おりひめ」そしてアリスは人の言葉を発した。それは、彼女の飼い主、姫井織姫の持つ「何かを出来るようにさせられる」異能力の賜物だった。「アリス、いい子でお留守番出来た?」「ありすはいいこでした。でしたので、おやつがほしいです」「はいはい」そう言って台所へ向かう織姫の後をアリスはついて行った。そしてホクホク顔でささみバーにありつく。それはいつもの日常の一風景だった。「そうだ、きょうのよるはちじにねこのしゅうかいがあります。でかけてきてもいいですか?」「猫に時間の概念が……!?いやまあ、いいけど」「やった。うれしいので、もっとおやつがほしいです」「食べ過ぎはダメ!」織姫に怒られ、アリスはしゅんとしょぼくれた。それから日は暮れ、夕飯時も過ぎ、八時が近付いた。キャットドアから出ていったアリスは、集会のある空き地へ急いだ。空き地へやってくると、多くの猫達が囲む一匹の猫が、不機嫌にシャー、と吠えた。「遅刻だ!愚か者!」土地のボス猫、目傷である。「ごめんなさいです、ありすはのろまです」「ふん、まあいい。さて、話の続きだが、その危険な人間はカメラを使って我々を殺すらしい。各々カメラを持っている人間に気をつけるように!」その後はどこの誰々が拾われただの、死んだだのの話が淡々と繰り広げられ、何匹かの猫がやいやい騒いでから、集会は終わった。アリスは、出発した時よりも暗くなった帰り道をテクテクと進んでいく。ふと、前から学生服を着た人間が歩いてくる。カメラは持っていなかったが、アリスは近くの家の車の下にさっと隠れた。「……デスシャッターがまた現れた時……」通り過ぎていく人間の言葉に、アリスは耳をそば立てた。
猫のおやつを売っている店に行くんだ。このビルには殺処分された猫がたくさんいるけど、あなたが世話をすれば大丈夫だと思う。お店の人が手伝いに来てくれるから、気にしないでね」。「猫には時間の概念がある!あなたが出かけるなら、私も行くわ」 「アリス、出かけるよ。「アリス、ついていくよ。「‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾ありすが先に出た。ありすは最後に出た。 ◆I Was a Good Girl. 私はいい子でした。私はいい子だった。 (TL注:原文ではI’m going to go out.と言っています。) これは、2人が夜中に出会ったときの話です