煙を吸わないように、ハンカチで口元を覆い、姿勢を低くしながら突入した。思ったよりも黒煙が濃く、視界が見えずらい。途中、少し息苦しくなったが、1階のトイレへ急ぐ。「瑠璃!!いたら返事して!!」そう叫ぶが、反応はない。女子トイレに入り、瑠璃を発見した。「瑠璃!!大丈夫か!!目を開けろ!!」精一杯の大声で呼びかける。「……大翔くん?…助けに来てくれたんだ……」瑠璃は目をかすかに開けた。「喋らない方がいい。今から脱出しよう」瑠璃の右脚には、軽度のやけどがあり、処置してやりたい。が、処置する時間も、観察する余裕もない。脱出が最優先だ。瑠璃をおぶさって、先程の道を戻って行こうとした次の瞬間、ゴゴゴゴと壁か剥がれ落ちた。「危ない!!」瑠璃を咄嗟に庇い、崩れてきた壁の破片が俺の左脚に当たった。とてつもない激痛と熱さが、一度に左脚に伝わった。「くっ……、」左脚が動かせない。「……大翔くん⁉︎大丈夫!?」瑠璃は慌てて声をかけた。無事で何よりだ。「…瑠璃…大丈夫?」「
負傷した体。次の瞬間、トイレのドアが開いた。倒壊した壁から黒煙がトイレに流れ込んできた。2人はまだトイレの中にいた。何があるのかよくわからないままでは時間がかかりそうだったので、私はすぐに作戦を思いついた。瑠璃のヘアピンを目印にするのだ。私たちがいる方向を最も正確に把握しなければならないので、場所から場所への移動に使うアイテムが必要だった。出発点に一番近い場所を探さなければならないことはわかっていたが、その場所がそれほど遠くないかもしれないこともわかっていた。トイレの外で待っていれば間に合う距離かもしれない。そして、万が一のために待つことも厭わなかった。私は深呼吸をして、一歩前に出た。次の瞬間、瑠璃のヘアピンは私の手から消えていた。しかし、私の進行方向はまだわかっていた。ヘアピンで方角を決めることができた。私は数歩歩いた