自動車は、ユーザーが自由に快適に移動することができる利便性を有し、もはや社会システム上欠くことのできない重要な輸送・交通手段である一方、交通事故を引き起こし環境に負荷を与えるなど、安全・環境に関するリスクを有するものである。このため、自動車の安全性の確保や公害の防止、環境の保全を目的として、車両法や省エネ法等により、自動車の構造・装置についての安全・環境に係る技術基準や燃費基準等が設けられている。自動車メーカーは、社会のニーズに応じることのできる技術力のみならず、安全・環境に対する高い意識と倫理感を持ち、コンプライアンスの徹底を図る責任を有しており、また、これらは自動車メーカーたる資質として当然有しなければならないものである。今般不正を行っていたことが明らかとなった自動車メーカー等にあっては、その不正行為について十分反省するとともに、二度とこのような不正を行うことのないよう、経営陣のみならず現場も含めた社員一人一人が再発防止策に真剣に取り組み、ユーザーの不信感の払しょくと自動車産業の信頼回復に向けて誠実に努める必要があり、国はその取り組み状況について引き続き厳しくチェックしていくことが求められている。また、他の自動車メーカーにおいても、一連の不正事案を他山の石として、コンプライアンスの徹底について、今一度再確認することが望まれる。国、機構及び自動車メーカーそれぞれが不正行為の抑止・再発防止のための措置について確実に取り組み、今回のような事態を根絶することが、今般の不正行為によるユーザーの不信感の払しょくと自動車産業の信頼を回復する唯一の道である。
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