中学の時、魔力に目覚めた僕は召喚魔法士の称号を得て、推薦で魔法学園高校に入学したが、召喚魔法も使えず、4代元素魔法の才能もなかったため、2年生から錬金術科に移らされることになった。1年分遅れているからと、錬金術科の先生に家庭学習用のホムンクルスを渡され、家に帰っても夜遅くまで錬金術の基礎を練習していった。家庭学習用のホムンクルスを自分の思い描く人物と瓜二つに作り上げることができたら1人前と言われていたので、毎晩何度も何度も魔力を込めてホムンクルスの外見を僕の推しの水沢七瀬ちゃんにしようと頑張ったおかげで、今日めでたく完成させることができた。どこからどう見ても水沢七瀬ちゃんだ。暇さえあればいつでもネットで水沢七瀬ちゃんを見ている僕が言うんだから間違いない。これが本物の水沢七瀬ちゃんだったらどんなに嬉しいか。妄想を膨らませていると、僕の魔力がすべて使われ、召喚魔法陣が展開された。何がどうなっているんだ?すると魔法陣が光り輝き、召喚成功のアナウンスが脳内に響き、目の前にいた水沢七瀬ちゃんそっくりのホムンクルスが動き始めたのだ。なにこれ、ここはどこなの?もしかして、水沢七瀬ちゃんの魂をホムンクルスに呼び寄せてしまったのか?学校支給のホムンクルスは使用者に絶対服従するよう書き込まれているので、目の前の水沢七瀬ちゃんも僕に逆らえないことをいいことに、
召喚魔法が成功し、会場の中央にエネルギーに満ちた青い光が現れた。その姿はアイドルではなく、私のホムンクルスだった。そして魔法陣が消えた。私はほっとした。それは始まりに過ぎなかった。次の瞬間、ホールの真ん中に白い人影が現れた。そのホムンクルスは、少女のような声で祈っている最中だった。「七瀬様、星風様・・・お二人に感謝しています。頑張ります。絶対に主様にベストを尽くします」 私のホムンクルスは、私の前に立ちながら、そんな言葉を発していた。「閣下、早く彼女を育ててください」 それは私の想像から作られたホムンクルスだった。私はとても嬉しかった。この日こそ、私が有能なホムンクルスになる日だ。「最善を尽くします。それと……」 私のホムンクルスは、跪いている少女の祈祷書につかまっていた。ホムンクルスの目は真っ赤で、恍惚としているようだった。「最善を尽くします」 ホールの真ん中に白い人影が現れた。そのホムンクルスは少女の祈祷書を持っていた。少女の祈祷は、細くまっすぐな鼻と明るい茶色の髪をしたホムンクルスによって読み上げられた。なんだこれは?今度こそ、ホムンクルスの祈りを読み上げた妹を殺してやる。「これでホムンクルスの祈りは終わりです。さあ、ホムンクルスを育てなさい。もう私の仕事はありません。