小説、首を切り落とせ‼︎、銀行員、山本優輝の舞台は世界一のメガバンク、川菱東海銀行である。元々山本は都銀行に勤めていたが、不正発覚により都銀行は破綻寸前まで追い込まれた。そこを川菱東海中央銀行が救済合併を実行、みらい銀行とも合併し、川菱東海銀行が誕生した。大銀行どうしが合併をしたので異様に巨大な組織となった。それはくだらない派閥争いの火種にもなった。山本のような旧都銀行系の行員は粗末に扱われた。
私は混乱の渦中にいた。若手事務職の研修に参加していたとき、山本が私を問題児だと決めつけ、一緒に研修室に連れ去ったのだ。最初は動揺したが、すぐに山本がなぜこのようなことをしたのか理解できた。午前中、先輩社員から電話会議に誘われた。そこで山本は私に「首を切る」と言い出した。 私は問題児だと思っていたが、山本は私以上に知っていた。私が労働組合の組合員であり、合併に反対する労働組合のキャンペーンに参加していたことを知っていたのだ。私は、みらい銀行との合併を阻止しようとした失敗の際、組合のリーダーの一人だった。この瞬間、山本は自分も合併を阻止する組合の活動に参加することを決意した。彼は全世界の前で私の首を切り落とし、世間に公表するつもりだった。 山本にその理由を尋ねると、彼はこう言った。お前とやり合ってやる “と。 私はショックを受けた。私を電話会議に誘った人物が、私の首を切ろうとしていることを知ったのだ。さらにショックだったのは、その人が先輩社員に「俺の首を切る」と言ったと知ったことだ。ショックは怒りに変わった。私は激怒した。私は山本のオフィスに行き、彼に詰め寄った