こんな夢をみた。腕組みをして枕も音に座っていると、青向きに寝た女が、静かな声でもう死にますと言う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかなうりざね顔をその中に横たえている。真っ白な頬の底に温かい血の色が程よくさして、唇の色はむろん赤い。到底死にそうには言えない。しかし女は静かな声で、
夢の中で語られた言葉は、夢の中で起こっていることを示す非常に重要な証拠となる。その女性は死のうとしているというのだ。 夢の中で私たちに起こることが、死後の世界において何らかの意味を持つかもしれないという考えは、新しいものではない。多くの人が、夢には何か特別なものがあり、それによって過去にタイムスリップして、生まれる前の他人を訪ねることができると考えてきた。しかし、そうした考えは、夢を見た人が生まれる前にタイムスリップして愛する人を訪ねることができたという考えに基づいている。もし夢を見て、夢主が生まれた後に愛する人に会うとしたら、それは良い兆候ではない。夢を見ている人はタイムトラベルできないのだ。 夢はそういうものではない。夢は起きているときの生活によく似ている。夢を見るとき、私たちは物理的な世界を認識している。世界はそこにあり、それを感じることができる。しかし、物理的な世界で目覚めているときと同じようには見えない。私たちは周りの世界について考えない傾向がある。物理的な世界で目覚めているときとは違う見方をしがちなのだ。だから夢は、私たちを取り巻く世界を意識させ、この世界を意識することで、自分自身の死を意識させることができる。 目覚めているときは、自分の身体、肉体を意識している。夢を見ているとき、あなたは自分の身体と夢に気づいているが、意識はしていない。