マエキは長身の痩躯だった。後頭部の下方で細く括られた黒の長髪と共に腕を気だるげに下ろしていた。真ん中で分けられた前髪はその人物の顔の上部を覆っていた。その横にある髪は黒い深緑で毛先から根元まで綺麗に染まっており、その人物の几帳面さを表していた。まつ毛で囲われたその瞳は思いの外小さく、まるで美しく洗練された宝石箱の中に小さい翡翠が輝いているようで、三白眼を体現していた。男性とも女性とも取れるその人物の格好は堅気とは思えぬ服装であり、胸部の膨らみで女性とやっと理解出来る。
特に最初に注目されたのは、胸の真ん中の大きなふくらみだった。そして、まるで子供の抱擁のように、4本の腕が次々と持ち上げられ、空に向かって差し出された。 「あなたたち、何してるの!?」 背の高い少女の声は興奮で震えていた。彼女は椅子から立ち上がるとドアに近づき、祈るような姿勢でドアの前に立った。 横に立っていた男性も、顔はあまり変わっていなかったが、別の意味で感動していた。 「ここに集まったAランクの生徒たちです!」 美琴と呼ばれた少女が最初に声を上げた。 「ミミ!?」 「いえ、あの子は……」 美琴は頭を下げ、腕を上げた小さな少女を見た。 「あの子は……」少女が驚いて目を大きく見開き、緊張から興奮へと表情を変えるのがわかった。彼女は泣きそうな顔で微笑んだ。 「やっぱりね?この美琴ってやつ、最初から私を呼んでいたんだけど、実は女の子なの。私が初めてなの」 彼女はそれ以上何も言わなかった。 美琴はうなずいた。 「声をかけてくるのが女の子?そうです。私です」 彼女は頭を下げ、言いたかった言葉を口にした。 「美琴ですドアが開いた瞬間、4人の女子生徒が一緒に入ってきた