F.ベーコン的な知は力なりという思想を現代的な視点から捉え直し意見を述べる
9. 最終章では、倫理の問題を取り上げる。ベーコンは問う：人の道徳的地位は、その人が置かれた立場によって決まるのか？この問いに対する答えは、知識の問題を解決する鍵である。道徳的に曖昧な状況に置かれたとき、「正しい」行動を選択することは重要だが、必ずしも容易ではない。ベーコンは、知識には2つの性質があると考える。第1に、私たちは自分が何を知っていて、それをどのように知っているかを知っていなければならない。第二に、ある用語の意味を説明できなければならない。自分自身に何かを説明する唯一の方法は、語彙や言語を使うことである。それができなければ、特定の状況や出来事について説明することはできない。私たちが何らかの語彙を開発したり、まだ開発されていない言語を使ったりすることを、原理的に妨げるものは何もない。ベーコンの見解は、私たちが語彙を開発し、言語を使用することができるのは、それらを使用する用意があり、それらが私たちの行動に対して持つ意味を受け入れる場合である。語彙や言語の選択は証拠に基づくものでなければならず、私たちが置かれた状況に適したものでなければならない。しかし、その選択は、私たちが世界と自分自身について知っていることに基づいていなければならない