こめかみガチ殴りニキの正体を知る者は誰も居ない。だが、こめかみガチ殴りニキの伝説を聞いたことがあるという者なら居るだろう。 しかし、例えそのようなことがあってもこの世には誰も知らない こめかみガチ殴りニキの話が存在すると言ったらはたして君は信じるのだろうか。
(静流の声) 目の前にいる黒いスーツの中年男は、口にハンカチをくわえている。 ハジメちゃん、なんでハンカチを口にくわえてるの? ガハハ!ハジメちゃん、聞いてるの? (静流の声) 目の前の黒いスーツの中年男が、ハンカチを口から離す。 ガハハ!ハンカチを咥えたまま本当のことが言えると言うのか? ハジメちゃん!ウソだ! (静流の声) 目の前の黒いスーツの中年男が 手に持っていたハンカチを取り上げる。 ハジメちゃん、僕の話を聞いてない。 (静流の声) 目の前の黒いスーツの中年男が、私の方を見る。 (静流の声) はじめちゃん、ウソついてるでしょ [目の前の黒いスーツを着た中年男が、私の方を見る。 [目の前の黒いスーツを着た中年男が、あなたを見ている。 [目の前の黒いスーツを着た中年男が、私の肩越しに見ている。 ] (静流の声) はじめちゃん、ウソついてるでしょ (静流の声) 目の前の黒いスーツの中年男が また私を見るの ハジメちゃん、ウソついてる。 (静流の声) 目の前の黒いスーツの中年男は 何かを忘れようとするように 目を閉じている ハジメちゃん、ウソついてる。 [目の前の黒いスーツを着た中年男は、忘れようとするかのように目を開ける。