その日、行き倒れて出会った彼は、俺の人生で初めての、そして1番の…

その日、行き倒れて出会った彼は、俺の人生で初めての、そして1番の友人になった。木陰で静かに傷を癒している明らかな厄ネタそのものだった俺を、あろうことか家の中にまで連れ込んで、傷に的確な処理を施した。他者に巻くのが慣れていない様子でぐちゃりと包帯を巻いた彼は「ショウ」と名乗り、口を閉ざして、その場にいた理由も、怪我の詳細も、自身の名前も明かさない俺のことを、ぴょんなどというペットにもつけない妙なあだ名で呼びだした。人見知りで怯えながら、距離を測りかねながら、拒絶されてなお好奇心に負けて食い気味に話しかけてくる彼に、根気負けして友人になるのに、そう時間はかからなかった。彼は優しかった。そして、英雄ではなかった。目の前の傷ついた人を無視できない優しさを持ちながら、顔も知らない大多数を救うのは戸惑うような人だった。その優しさは時に彼を困らせ、優柔不断に頭を悩ませる原因はもっぱら、切り捨てきれない優しさから来るものだった。彼は好奇心旺盛だった。人並みより少しばかり大きく、幼子のような好奇心から、図書館中の本を種類を問わず読み漁り、気になるものは放っておけないたちだった。ひとたび外に繰り出せば、五歩歩くごとに後ろを振り向かなければ、彼はその知識欲でずっと後ろでやけに集中しながら、他の人なら下らないと思うことすらなく見過ごすものをじっくり観察してから、彼と俺の間の距離に気づいて慌てて駆け寄ることが常だった。

「そうしたかったの」と彼女は言った。 母親の足音が聞こえた。 「エルザは言った。「これが私の人生の行く末ね」。 「アナは言った。「そして、あなたがもう昔の私じゃなくてよかった。 エルサはうなずいた。「アナ、私は行かなくちゃ。仕事よ。お城で会議があるの。また明日ね」 「明日?アナは尋ねた。 「明日」とエルサは言った。「明日」とエルサは言った。 「エルサ、行かなきゃだめよ」アナが言った。エルサは立ち止まった。「お別れを言わないといけないわ」。 エルサはうなずいた。「わかったわ。 「アナは言った。「また明日ね。 二人は別れた。 エルサは帰る前に手紙に目を落とした。 そして背を向けた

Photo by cathyjonelson

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