にこは思わず息を呑んだ。いつもはからかってばかりのDDの、こんなにも大人びた姿を初めて見たからだ。ゆっくりと歩み寄るDDの姿は、まるで映画のワンシーンのようだった。花束を抱えるその姿は、普段の彼のイメージとはかけ離れて、ただただかっこいい。にこは、ドキドキしながらDDを見つめていた。心臓が早鐘のように打ち、全身が熱くなるのを感じる。卒業の感動と、DDの予想外な姿への衝撃とで、頭の中が真っ白になっていた。DDがにこの目の前に立ち止まり、少し照れたように微笑んだ。「卒業、おめでとう」低い、けれど優しい声が、にこの耳に届く。手渡された花束は、ずっしりとした重みとともに、バラの甘い香りを運んできた。その瞬間、にこの頭の中で、堰き止められていた何かが溢れ出した。込み上げてくる様々な感情と、目の前に立つ信じられないほどかっこいいDDの姿に、思考回路が完全にショートしてしまったのだ。そして、口をついて出た言葉は、自分でも予想外のものだった。「…抱いて」それは、小さな、けれどはっきりと聞こえる声だった。言った瞬間、にこは自分が何を口走ったのかを理解し、顔がみるみるうちに赤くなっていくのを感じた。
と言っていた。それは、彼女が最初から経験していたのと同じ音だった。そうだ!彼女がそう言った直後、彼女は全世界をひっくり返してしまうのではないかという私の考えは、すべて洗い流された。私の思考はゆっくりと動き始め、再びはっきりと考えることができるようになった。「卒業おめでとう」ニコは友人の頭を優しく撫でながら言った。「本当におめでとう。心配してたのよ。この2年間の努力が報われないんじゃないかって。私はただ、あなたが区切りをつけてくれたことが嬉しかったと伝えたかっただけなの。見たかったのは山々だけど、君が卒業するとは思ってもみなかった。君が仕事から離れる機会があってよかった。あなたが厳しい学校を卒業してからしばらく経ちましたから…」 「どう考えていいかわからない。でも、あなたが言ったこと全部、実はすごく楽しみなんです。でも、あなたが言ったことすべてが、実はすごく楽しみなの。あなたが何をしようと、私はいつもあなたのそばにいる。去年はごめんなさい。君が僕との約束を守ってくれるよう、全力を尽くすよ」 「あなたがこの結論に達してくれてうれしいわ」 ニコは友人の手に手を伸ばしながら言った。彼女はその手をそっと握った。「あなたにとって本当に辛いことだと思うけど、平穏を見つけなきゃ。仕事が好きなのはわかるけど、そのポジションに留まる方法を見つけなきゃ